2025.03.01予防歯科保存修復高齢者の虫歯が増加中
西尾市のみむ歯科クリニックです。
令和7年度8020対象者
(80歳で20本以上自歯がある方)を
推薦する時期がやってきました。
なぜ8020なのかというと
20本以上自歯があれば
「食事に困らない程度に噛める」
という考えのもと始まった運動で
今や80歳の50%以上の方が達成していると
いわれています。
ちなみに訪問診療を行う当院では
対象患者さんが多いのでは?と
思われがちですが
訪問先の施設で80歳という年齢は
まだまだ若い方です(゚д゚)!
8020達成者は年々増えていっていますが
それにともない高齢者の虫歯が急増しています。
今回はそんな高齢者の虫歯のお話です。
もくじ
- 虫歯の増加率は30~40代がピーク
- 高齢者に虫歯が増加する理由
- 高齢者の虫歯治療
- まとめ
1.虫歯の増加率は30~40代がピーク
そもそも虫歯は思春期以降から30~40代を
ピークに増化する傾向にあります。
これは幼少期は保護者が食べ物(甘い物)を
管理していたのに対し
思春期頃から保護者の管理から離れ
自由に食べられる状況になるからと
言われています。
2.高齢者に虫歯が増加する理由
30~40代にピークを迎える虫歯が
なぜ高齢者に増加傾向にあるのか?
理由その1.歯ぐきが下がる
加齢とともに歯周病が進行したり
不適切な歯磨きにより歯ぐきが下がることで
歯ぐきに覆われていた歯の根っこの部分が
表にでてきます。
この部分は元々虫歯に対する耐性が弱い
部分で、そこが露出することで
虫歯になりやすいと考えます。
理由その2.加齢による身体・口腔機能低下
身体的機能低下
加齢とともに身体機能が低下し
細かい動作を要する歯磨きが不十分となり
虫歯になりやすくなります。
唾液分泌量の低下
その中でも、唾液の分泌量の低下は
虫歯のリスクを高めます。
唾液の役割としては
消化、嚥下を助けるだけでなく、
虫歯予防の効果もあります。
唾液の分泌低下=虫歯予防効果の低下
に繋がるので、虫歯になりやすいと考えます。
咀嚼能力の低下
咀嚼能力が低下することで
口の中に食渣が残りやすい
唾液の分泌量が低下するなど
自浄作用の低下を引き起こします。
それにより口の中に汚れが残りやすく
虫歯になりやすいと考えます。
理由その3.8020運動
昭和の時代では
歯周病は不治の病、虫歯大洪水時代で
歯周病治療=抜歯して入れ歯
虫歯=大きく削って銀歯を入れる
が当たり前でした。
これにより80歳になったときには
総入れ歯になり、虫歯になる歯がない人が
多くみられました。
8020運動を行うことで
自歯を多く持つ高齢者が増えました。
自歯がある=虫歯になる可能性がある
ことから、
高齢者の虫歯が増えていると考えられます。
3.高齢者の虫歯治療
虫歯治療で虫歯を削るとき、水を使います。
これは削るときに発生する熱を冷やすためです。
高齢者では、この水でむせることが多く
誤嚥するリスクも高くなります。
高齢者に対し
しっかりとした虫歯治療を行うことは
カラダへの負担、全身的リスクを考慮する
必要があります。
治療法その1 妥協的切削
虫歯の切削量を妥協的に減らし
充填する方法です。
治療法その2 薬物塗布
フッ化ジアミン銀という虫歯の進行抑制効果
のある薬を塗布する治療法です。
昭和の頃には子供の虫歯治療に
広く用いられましたが
虫歯に反応して黒くなり見た目が悪いので
平成頃からは敬遠されていました。
ただし虫歯に対する有効性が高いことから
近年、再び見直されている治療法です。
治療法その3 フッ素塗布
フッ素の虫歯予防に対する有効性は
高いですが、すでに虫歯になっている場合は
この限りではありません。
ただし、削れない・黒くなりたくないが
治療したい場合には、
定期的なフッ素塗布と
継続管理で対応することもあります。
まとめ
超高齢化社会を迎え
高齢者の虫歯が増加しています。
残存歯数の増加と
高齢による口腔機能の低下が起こることが
原因と考えられます。
治療法は削ってつめるのが理想的ですが
カラダへの負担を考慮し
妥協的治療となることがあります。
最後に
高齢者の虫歯治療を通して
「歯を削らない」ということは
メリットが大きいと感じた半面、
医学的には妥協的な治療となる
審美性が劣る、継続管理が重要となるなどの
デメリットもあると思います。
アナタにとってベストな治療は
「負担が大きくともしっかり治療」
または
「負担の小さな妥協的な治療」
どちらでしょうか?
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